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東京高等裁判所 昭和40年(行ケ)13号 判決

本件登録実用新案の登録出願および登録の各日、その帰属、考案の要旨、特許庁における本件審判手続の経緯本件審決の理由の要旨についての請求原因第一、二項の事実は、すべて当事者間に争いがない。

右争いのない事実と成立に争いのない甲第一号証によれば、本件登録実用新案の要旨は、別紙第一「図面に示すように、加工枠(1)上に横架した回転盤(2)の一側に取付筒(3)を固着し、その取付筒(3)の先端に鏡板(4)の一側を固着して、鏡板(4)の他側の自由端部に前後左右に移動可能な水平方向の摺動杆(5)(6)の先端に設けた押頭部(7)(8)を接して成る鏡板の縁曲横型加工機の構造」にあるところ、そのうち、回転盤(2)に取り付けられる取付筒(3)については、本件登録実用新案の説明書中「実用新案の説明」の項に、請求原因第三項(一)における引用表示部分のとおりの記載および「回転盤(2)の一側に、取付筒(3)の一側に設けた鍔(9)を螺子(10)により固定し、その取付筒の他側に鏡板(4)の一側を仮溶着し……」の記載があり、その取付筒は、径を異にする数種のものを鏡板の加工目的に応じて回転盤に取り換え取り付けて使用することができ、径の細い取付筒を使用すれば、鏡板の中心部近くまで奥深く自由な形状に屈曲彎曲の加工ができるし、また、取付筒の先端に先端内周面にテーパーを設けた取付治具片を適宜の個数溶着して用いれば、この取付治具片の各先端に鏡板の一側を仮溶接して開放された鏡板の他側を押頭部により押圧することにより、鏡板の中心部までテーパー面に沿つて自由に彎曲加工することができるという作用効果を奏するものであることが認められる。以上の事実によれば、本件登録実用新案においては、回転盤(2)の一側に取付筒(3)を取り付けその取付筒の他側に鏡板の一側を仮溶着する構成を、その考案の構成に欠くべからざる事項の主要な一つとしているものと解するのが相当である。

ところで、右取付筒にかかる構成ないしこれに類似するものおよびその作用効果については、本件審決に示された引用例(一)(二)(三)および「へら絞り法」(成立について争いのない甲第三および第五号証の各一ないし三、なお同第四号証の一ないし三)のいずれにも、少しも示されていない。もつとも、引用例(一)(前掲甲第三号証の一)の第一図には、上盤板(2)の下端に空所がわずかに図示されているが、その説明書中には空所の構造、作用効果については全く記載されておらず、しかも、右第一図および「実用新案の説明」の項の「(18)は鏡鉄板(1)の中心に穿設されたる小穴を嵌合すべく廻転軸(15)の上尖端に突設したる突子である。」「本案の実施にあたりては、鏡鉄板(1)の中心に穿設されたる小穴を突子(18)に嵌合し……」との記載に徴すれば、その空所は、本件登録実用新案のように取付筒によつて鏡板の中心部をも加工しうる作用効果を収めようとの技術を示すものでないことがうかがえる。

右のとおりである以上、本件登録実用新案をもつて引用例(一)(二)(三)および「へら絞り法」から当業者の容易になしうる程度のものでありその登録を無効にすべきものとした本件審決は、その余の点にわたつて判断するまでもなく、判断を誤つた違法があり取消しを免れない。

〔編註〕 本件に関する別紙は左のとおりである。

別紙第一

本件登録実用新案にかかる鏡板の縁曲横型加工機の一部平面図、正面図および断面図

<省略>

別紙第二

実用新案出願公告昭和三二―八三三三号(引用例(二))にかかる鏡鉄板の縁曲加工機の一部側面、平面、縦面の各見取図

<省略>

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